給湯器の仕組みを徹底解説!ガス･電気･石油など種類での違いも紹介します

普段の生活に欠かせない給湯器。しかし、どういう仕組みでお湯を作り、種類や機種でどのような違いがあるのか、いまいちピンときませんよね?この記事では、ガス･電気･石油など熱源別で給湯器を徹底的に解説します。

給湯器にはおおまかに、ガス･電気･石油の3つの種類があります。それぞれの項目に分けて、詳しくご説明していきましょう。

ガス給湯器

ガス給湯器とは、ガスを燃焼させて熱を発生させ、その熱を水に伝えることでお湯を作る装置。ガス給湯器は、マンションなどの集合住宅･戸建てを含めて、国内の住宅の8割もの設置率を誇り、給湯器の王様と言えるでしょう。
また、「リンナイ」と「ノーリツ」の2社の製造メーカーが国内で8割のシェア数を占めています。

お湯を作る仕組み

ガス給湯器がお湯を沸かす仕組みについて、必要なものと水からお湯になるまでの工程に分けてご説明します。

必要なもの

ガス給湯器がお湯を作るには、沸かす「水」、お湯にするためのエネルギーとして「ガス」、本体を運転する「電力」の３つが必要。そのため、給湯器には、水道管･ガス管･電源線が通っています。その作ったお湯を住宅に供給する給湯管や追い炊き管が本体から伸びているような構造。

お湯になるまでの工程

その1　ガスを供給する
ガス給湯器は、都市ガスやプロパンガスを使用し、ガスが点火すると内部のバーナーが点火して、燃焼を始めます。

その2　熱交換器を通す
ガスの燃焼によって発生した熱を、熱交換器という部品に通すことで水に伝え、お湯を作ります。接続された水道管から水が流れ込み、熱交換器内で温める仕様。水は、直接ガスで点火した炎に触れず熱交換器内で間接的に、効率よく熱を受け取ります。
(瞬間式の場合、必要な分だけ水を取り込み温め、貯湯式の場合、タンク内に水を取り込み温めて保温します)

その3　お湯を供給する
作られたお湯は、室内に設置されたリモコンで設定された温度に到達したあとに、給湯管や追い炊き間を通り、蛇口や浴槽などに供給されます。

給湯暖房熱源機とは

給湯暖房熱源機は、ガスなどの燃料を使って、給湯と暖房の両方の役割を果たす装置。
熱交換器で作ったお湯を循環ポンプを使って、床暖房やラジエーター、ファンコンベクターなどの暖房機器を通して、部屋全体を温めます。
作ったお湯を給湯暖房熱源機から暖房装置や給湯装置など住宅の各所に循環させて、適切なタイミングで暖房と給湯をしてくれるでしょう。

また、給湯と暖房を一体化したシステムなので、エネルギーを効率的に利用することが可能です。必要な分だけ熱を作り供給するため、ガスを無駄なく使うことで、省エネルギーやエネルギーの運用コストの削減を実現。給湯暖房熱源機を導入すると、快適な暮らしはもちろん環境への配慮もできるでしょう。

電気給湯器

電気給湯器とは、電気をエネルギー源としてお湯を作る装置。ガス給湯器と違い、燃焼を利用せず、電気ヒーターや熱交換器を使ってお湯を作ります。
従来の電気給湯器である「電気温水器」、近年高効率給湯器として注目を集めている「エコキュート」が代表として挙げられるでしょう。

お湯を作る仕組み

お湯を作る仕組みを、「電気温水器」と「エコキュート」に分けてご説明します。

電気温水器

その1　水を供給する
水道管から冷たいままの水が電気温水器のタンクに流れ込みます。電気温水器の貯水タンクは、数十リットル〜数百リットルの容量を持っていて、内部に加熱用の電気ヒーターが設置されている仕様。

その2　電気ヒーターで加熱する
タンク内に水が溜まったのを感知すると、タンクの底部または側面に取り付けられた電気ヒーターが作動し、電流を流して水を加熱します。設定した温度まで水温が達したことを、温度センサーが察知すると自動的に停止するため、エネルギーの無駄遣いを防ぐことができるでしょう。

その3　保温しお湯を供給する
タンク内には、保温剤（断熱材）が施されていて、一度作ったお湯の温度を保持します。タンクから給湯管や追い炊き管を通って住宅内の蛇口や浴槽に供給され、タンク内のお湯が減ったら新たに冷水が流れ込み、再度加熱する仕様。

電気温水器はタンク内でお湯を作り、設定された温度で保持して、そこからお湯を供給する仕組みです。

エコキュート

その1　外気を取り込む
外部ユニット（室外機）で外気を取り込み、ヒートポンプで効率的に熱を取り出します。

その2　冷媒を圧縮する
吸い込んだ空気の熱を利用して、内部の冷媒（熱を運ぶ液体）を圧縮します。冷媒を圧縮することで急激に温度が上昇。この冷媒の熱を利用して、お湯を作ります。

その3　熱交換器で加熱する
高温の冷媒がエコキュート内の熱交換器を通って、冷媒の熱が水に伝わり、加熱されることでお湯ができます。この温水はタンク内に蓄えられる仕様。

その4　冷媒を冷却する
熱交換後、冷媒は冷却されて再び液体に戻り、再度外部ユニットに戻る仕組み。この工程を繰り返し行うことで、効率的にお湯を作ることができます。

その5　お湯を供給する
作られたお湯はタンクに貯蔵され、必要に応じて給湯管や追い炊き管を通って住宅内の蛇口や浴槽に供給されます。

エコキュートは外気を利用してお湯を作ることで、従来のガス給湯器や電気温水器よりも高い省エネ性を実現しています。

電気給湯器の利点･欠点

使用に伴う電気給湯器の利点と欠点を解説いたします。
まずは「電気温水器」の使用の利点は、主に省エネルギー性と操作の簡単さ、安全性が挙げられるでしょう。

特にガスを使用していないため、ガス漏れや火災のリスクがないという、高い安全性が利点と言えます。
欠点は、主に容量の制限、停電時に運転が停止してしまうことが挙げられます。貯湯式の場合、タンクの容量に限りがあるため、大量のお湯を必要とする状況下では不便かもしれません。また、電力を使用してお湯を沸かすため、停電時は完全に運転が止まってしまいます。

「エコキュート」の利点は、電気温水器と同様に高い安全性の他に、省エネルギー性や環境への配慮が挙げられるでしょう。空気の熱を利用するため、電力を使用して非常に効率的にお湯を作ります。CO2の排出を削減でき、従来のガス給湯器と比べて、一般的に60％～70％ほどランニングコストを下げることができると言われています。

欠点は、設置費用の高額さと外気の温度の影響を受けてしまうことでしょう。長期的に見ればランニングコストが削減されるため、回収できますが、本体の価格は高額になります。
また、寒冷地など気温が低すぎると、効率が悪くなってしまうことがあり、非常に寒い地域だと他の給湯器の方が効率的になる場合もあるかもしれません。

石油給湯器

石油給湯器とは、石油（灯油）を燃料としてお湯を作る装置。主に寒冷地に使用されていて、石油の価格が安定していれば、ガスや電気の給湯器よりも経済的かもしれません。

お湯を作る仕組み

その1　燃焼する
本体の燃焼部分で酸素と混合して、燃焼反応を起こします。この燃焼反応により、大量の熱エネルギーが発生して、それをお湯に伝えて加熱する仕様。

その2　熱交換器で加熱する
燃焼で発生した熱は、燃焼ガスと水が効率的にやり取りできるよう設計された熱交換器に伝わり、ここでお湯を作ります。

その3　お湯を供給する
熱交換器で作られたお湯は、給湯タンクに送られて、貯湯されます。そこから必要に応じて、給湯管や追い炊き管を通って住宅内の蛇口や浴槽に供給される仕組み。

その4　排気する
燃焼によって発生した煙やガスは、排気装置（煙突）を通って排出されます。排気が完全に外部に排出されることで、室内の空気が汚染されることはありません。

石油給湯器の利点･欠点

使用に伴う石油給湯器の利点・欠点を解説いたします。
石油給湯器の利点は、特に寒冷地でのパフォーマンスの高さと電力供給の影響を受けない点が挙げられるでしょう。

電力供給の影響を受けないため、停電時に本体の運転が停止することがありません。
欠点としては、石油(灯油)を燃料とするため、ランニングコストが変動する点と、CO2が排出されるので環境にあまり優しくない点が挙げられます。

給湯器の仕組みを徹底解説!まとめ

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。本記事では、給湯器の仕組みを徹底的に解説しました。
給湯器の交換や設置をご検討されている方は、是非ご参考ください。
給湯器のメーカ－での違いなどは、下記の記事で詳しく解説しています。

給湯器のメーカーや種類の違いは?選び方やメーカー一覧をわかりやすくご紹介します

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